従来のコンタクトセンター運営において、規定の指標(KPI)測定自体が目的化し、本来の目的である顧客体験(CX)の向上が後景に退くケースが散見されます。こうした課題に対し、世界標準のCXマネジメント規格である「COPC CX規格」の最新版「Release 8.0」は、指標の設計思想とマネジメント対象を根本から見直しました。
本稿では、最新規格から読み解くコンタクトセンター業界のグローバルトレンドと、企業が取るべき戦略的対応について解説します。
1. 指標に振り回されない「3つの視点」と柔軟なフレームワーク
最新規格では、決められた指標を網羅的に測定することから、「その指標によって何を実現したいのか(測定の意図)」を重視するアプローチへと移行しています。自社の戦略に合わせた柔軟なKPI設計を行うため、以下の「3つの視点」に基づくフレームワークが提示されています。

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体験とコスト(Experience & Cost): CXの向上と運営コストの最適化におけるバランスの測定
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KCRP指標(Key Customer Related Processes): 顧客対応プロセスの有効性と品質の評価
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KSP指標(Key Support Processes): 現場のパフォーマンスを支えるサポート部門の貢献度の可視化
これにより、経営への貢献を可視化しつつ、現場の実態に即した納得感のあるKPI設計が可能となります。
2. AIのパラダイムシフト:「ツール」から「マネジメント対象」へ
Release 8.0における最大の焦点は、「AIとの共生」およびそれに伴う「AIガバナンスの確立」です。
これまでAIは、主に業務効率化を目的とした「IT部門が管理するツール」として認識されてきました。しかし本規格において、AIはオペレーターと同様に「教育・評価・改善を継続的に行うべき組織のマネジメント対象」として正式に位置づけられました。
具体的には、以下のような実務的な要求事項が追加されています。
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生成AIが提供する情報の正確性(Accuracy)の監査手法と報告頻度の定義
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AI導入によるコスト削減(Efficiency)だけでなく、CX向上および従業員の業務負荷軽減(EX)を含めた「トータル・エクスペリエンス」の評価
3. QA(品質管理)機能の再定義と日本企業が直面する課題
この思想に基づき、グローバル企業では品質管理(QA)部門の役割を再定義する動きが顕著になっています。従来の「音声録音のモニタリングと採点」を主目的とするQAから、AIのログを分析し、プロンプトの修正やナレッジベースの更新を主導する「AI品質コントローラー」への機能転換です。

一方、国内のコンタクトセンターにおいては、AI導入の投資対効果を応答率や処理時間の短縮といった「効率性」のみで測る傾向が依然として強く残っています。AIの出力品質がCXに与えるリスク(ハルシネーション等による顧客不満足)へのガバナンス不足は、今後の大きな課題と言えます。
4. AI時代に求められるデータ駆動型リーダーシップ
COPCが提唱するベストプラクティスは、一貫してデータに基づく意思決定を求めています。これからのセンターマネジメントにおいては、単なる処理効率だけでなく、「AIと人間の協働がいかに高いシナジーを創出しているか」を定量的に評価・改善する仕組みが不可欠です。このグローバルスタンダードへの適応遅れは、中長期的な競争優位性の喪失リスクに直結します。
プロシードは、最新のCOPC規格「Release 8.0」の知見をもとに、企業の次世代CX戦略の構築を支援しております。グローバルトレンドを踏まえたマネジメント体制の刷新や、AI導入に伴うQAプロセス再構築など、具体的な施策策定にご関心がありましたら、ぜひ弊社までご相談ください。
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